ねこがなくなった時のこと

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2020年9月27日の朝、だいすきな飼い猫が永眠しました。その時に書き殴っていた25日間の日記を、自分の中での感情の整理、記録として投稿します。


既往歴、当時の状況

  • 2020年9月当時、15歳9ヶ月(メス)キジトラ雑種
  • 2018年5月(12歳6ヶ月)に乳がんが発覚、手術して腫瘍は切除するも脈管浸潤があり、転移の可能性が高いと診断を受ける。
  • 数年前から腎臓が悪く、定期的に点滴を受けている(人工透析みたいなもの?)。そのため当時病院には2週間に1回程度通っていた。
  • 2020年7月、胸にしこりが見つかる。乳がんの転移とみられ、手術することになる。しかし手術当日に行ったCT検査の結果、肺に影が何箇所も見つかる。今の状態では負担が大きく、緩和療法に方針転換する。この時点で、主治医の獣医さんから3ヶ月ほどの命と言われた(その通りになった)。

※治療方針や処置などは、主治医の獣医さんの考えに基づいて、私がその当時自分で調べて認識していたことになります。推敲やきちんと調べ直すなどはしていないので、間違っているところもあると思います。

猫の病状の記録というより、私の日記として、感情の整理に重きを置いています。それを踏まえて読んでもらえたらと思います。

 別れの日が近い 

  • 9月4日

私は8月半ばから実家に滞在中(大学院生。オンライン授業にこれほど感謝するとは思わなかった。)、この日は幼馴染が夜に家に来ていた。

ねこはいつも祖母の部屋で寝ていたのに、この日は夜に鳴いて「(幼馴染)ちゃんは置いて2階でいっしょに寝よう」と言われて幼馴染「もー、わかったよ〜」と追い出す。全員猫語を話す家です。

来週末締め切りの報告書があったけど、ねこの寝かしつけで作業ができない。 

 

  • 9月5日

お昼は2階の椅子の下に隠れて静かにしており、祖母を大変心配させる。いつも返事するのにみんなが慌てて探してるときに黙ってた。私が発見したときは自慢げな顔をしていた。

夜21時ごろ、吐く。「口を開いてハアハアいうようになったらかなり危険な状態なので、すぐに連れてきてください」と獣医さんに言われていた。今日は口は開いてないけどフーフー言うのが初めてでびっくりして、獣医さんに見せる動画を撮る。(状況を動画を撮っておくと、伝わりやすい。)

吐いた後で息が荒いのに、2階に上がってまた椅子の下で寝る。気に入ったのか。。。 

 

  • 9月6日

私のベッドの枕元で毎日寝るようになる。ご飯だいすきだったのに、全然食べない。

 

  • 9月8日

早朝から吐く。内臓がひっくり返るような吐き方で、みててびっくりした。2度吐いて、2度目はなんとなく赤い。午前中に病院に連れて行くことに決めて、私はリビングで泣く。なんでもいいからもう少し一緒にいて欲しい。

そのあとねこ本人(本猫?)はお外を見たりして、なんだかちょっと元気……そのまま私だけ部屋に戻ったら母がベッドまで連れてきて、病院が開くまで一緒に寝る。私は黄色いワンピースを着ていた

クレアチニン(腎臓の検査の値)は3台まで下がる(猫の正常値は0.8〜1.8なので、それでもとんでもなく高い)。吐き気どめとお腹の調子を整える注射をして、耳に塗る食欲増進の薬をもらう。毛細血管がいっぱい詰まってるとこ、耳〜

そのおかげでささみを食べたらしい。その夜、幼馴染がミラノ(!)に帰るから夕ご飯を食べに行ったら、ねこは帰るまで私の部屋で待ってた。

 

腎不全について
  1. 初期
    血中クレアチニン上昇(ヒト正常値1.0ぐらい)。ヒトではクレアチニン3ぐらいまで無症状。
  2. 利尿期
    尿量が増加、クレアチニン3以上、吐気、嘔吐、食欲不振等の尿毒症の症状出現。1週間ぐらい前まではねこちゃんはここ、お盆の検査ではクレアチニン4.5。
  3. 乏尿期
    尿量が減少、症状増悪、クレアチニンは5以上、ヒトならば透析導入。
    ねこちゃん今ここ
  4. 無尿期
    全く尿が出ない状態、自覚症状も強烈。ヒトなら無尿になったら2〜3日の命。

慢性腎不全の経過は月単位だけど、急性増悪するときは数日単位でクレアチニンが変化するらしい。急性増悪の原因は脱水。水分たっぷり補給できるといいね、と思ってアイリスオーヤマの泉みたいな給水機を2台買う。

 

  • 9月9日

ねこ、ご飯を少しだけ食べたので少しだけうんちをする。

この後結局耳に塗るお薬でご飯を食べたのは2〜3日だけだった。あれ成分として何が入ってたんだろう?

 

  • 9月11日

昨日は小さく丸まってたけど、今日はいろんなポーズで眠る。位置にはこだわりがあるらしく、私の枕元。そこから動かないせいで、私の大学でのWebミーティング中に祖母が大声で乱入し、病院に連れて行く。うるせー笑。ついでに先生にねこを見せる。

(この日に祖母に通院を任せたら、勘違いによる「咳をしてから吐く」との嘘を言った。そのためレントゲンを撮ってお薬の吸入をしたけど、意味はなかったと思う。すでにかなり肺が白くなってたらしい。)

点滴をするとイライラするから私の腕をたくさん噛む。この傷一生残れ と思った。

 

  • 9月12日

寝ながら学会を見る。

ねこは昼も夜もゴロンとしている。寝てると思うけど全然目を閉じてない、半目。レム睡眠のようで目蓋や耳がピクピク動いたり、手足が痙攣みたいに一瞬震えたりする。息も不規則だから、へんな夢を見てたら可哀想だけど起こしていいのか迷う。あんまり続くようなら撫でて声をかけて起こすけど、すぐには目が覚めない。ご飯はほとんど食べない。

 

  • 9月13日

私の部屋は2階にあるので、ねこは1階まで自分で歩いて降りて、トイレに行ったり、廊下まで水を飲みに行って無酸素運動。猛烈に水飲んだりするので、廊下で倒れてハアハア言ってる。ベッドに戻ってもハアハア、ご飯は食べない。膝の上で撫でられてグルグル言ったりもしてるけど、体調はとっても悪そう。

妹が自分の部屋で眠れなくなり、リビングで深夜NHKで放送されている謎の景色番組やHulu?のホタルノヒカリを観ながら徹夜を始める。いつかすぐに来る先のことを考えて、悲しい。と思ったらねこがひとりでリビングまでトイレに降りてきた…… なんで自分でしようと思うのよ……。

そのあと私の部屋のベッドに戻って、ねこちゃんが枕元で添い寝している自撮りをした。

 

  • 9月14日

病院に行く。ご飯を食べないことを相談する。

猫の点滴について

今のねこちゃんは、たんぱく質が経口摂取できないので、低タンパク血症→血液うすいので血液の浸透圧低い→水分が肺や腹腔に染み出す→胸水腹水がたまる→呼吸困難。

栄養剤の点滴ができませんか?と相談したけど、それはできないみたい。

たんぱく質と脂質は(分子量が多くて水に溶けないため)点滴できないけど、糖質は点滴できるかもしれない(水に溶けるから)と思ってそれも尋ねたけど、人間とは違って、ねこ用の点滴にはほとんど糖質が含まれていないらしい。

点滴でできるのは、水分補給か。

 

耳に塗ってた食欲増進のお薬を経口で飲ませてもらう(ふだんはめちゃくちゃ嫌がって飲まない)。その後、前回と同じように腎臓のお薬の点滴と注射をして、今日全然良くならなかったら明日も病院にきてレントゲンを撮って、肺に水がたまってたら抜きましょう ということになった。呼吸数は40回/分。

帰ってきて、ずっとハアハア。元気もないし、ご飯も食べない。もう2階に上がれないようなので、この日からメルと妹とリビングで寝ることになった(妹は2日目)。ここから長い長い戦いが始まる。

 

在宅酸素療法が始まる

  • 9月15日

昨夜からずっと息が荒い。そのせいでねこはほとんど眠れてない。開院いちばんに駆け込む。呼吸数は昨日の倍で80回/分。苦しいのが見てわかる。

「処置しているあいだにもしかしたら亡くなるかもしれません」といわれてレントゲンとエコーをする。肺はびっくりするくらい白かった。(この時に11日にレントゲン撮っていたことを知る)比較してわかるくらい、かなり悪化している。

エコーして、肺に水が溜まってるようだけど、肺にがんの転移があり、そこから水が滲み出ているため、水をとっても状態が良くなると思えない。利尿剤(肺の水を抜くため)とステロイドを打って緩和療法になった。

進行がかなり急激だから、数日で亡くなっちゃうかもしれないと言われた。ICUで酸素吸入して、いったんねこを連れて家に帰る。どうぶつにもICUがあるんだ。

 

在宅酸素療法の酸素の部屋をレンタルできるというパンフレットを獣医さんからもらった。肺がんの猫のブログをたくさん調べたときに、最後はこうなると知っていた。やっとか、と思った。

酸素吸入したすぐあとは楽そうだったから、レンタルすることにする。20日で3万円とか。在宅酸素の機械の申請は、動物病院を通さないと連絡ができない。午前中に連絡したら絶対に早く届くと考えて、印鑑を持って動物病院に再び走って行く。なぜか窓ぎわまできてお見送りをしてくれるねこ……。

在宅酸素療法の機械は、家に設置するゲージのお部屋と、通院で移動する時の酸素ボンベも借りられるらしい。肺がんの最後はとても苦しい(一番辛く苦しいのは息ができないこと)ので、安楽死を考えていた。苦しいまま死ななくていいように、最後に病院でお別れできる用に酸素ボンベも借りるか迷って、獣医さんに最後の判断はどうしたらいいか尋ねた。呼吸が80回/分を超えたり、今日打った利尿剤が効かないようなら考えた方がいい、在宅酸素の部屋から出られなくなったらもう厳しいと教えてもらう。酸素ボンベは借りなかった。

その場で確認してもらって、酸素の機械は最低でも明日の夕方には届くといわれる。いっぽうねこちゃんは注射をして帰ってきたら呼吸数が45回/分くらいになってちょっと元気。

 

在宅酸素の会社の人(いろんなブログを読んで身構えていたのだけど めちゃくちゃ丁寧だった)から電話があり、在庫があるので今日の夜19時すぎには届くと連絡。やっぱり!早く連絡してよかった。30分後にまた電話がきて、キャンセルがあったので15時半には届きますと言われた。キャンセルって、間に合わなくて亡くなったワンちゃんや猫ちゃんがいるのかなと思って、良かったねえとねこに話しかける。

到着してさっそく設置したものの、嫌がって入らない オイ!話を聞いていたのか?

 

酸素の機械は、ウサギとかいれるゲージにビニールでカバーがついている。上は覆われておらず、あいている。酸素は空気より重いから、下に沈む。エアコンの風が当たらず、空気の循環がなければ、そのままゲージの下の方に滞留する。

入ってくれないので諦めていたけど、1時間後に上から入れたら出られないとわかって大人しくしていた。入り口を開けたらすぐに出ていった。いいお部屋をもらったねーと話しながら妹が一緒にゲージに入ったら(!?)、ねこちゃんのお部屋にどうぞって嬉しそうにゴロゴロのど鳴らして元気、注射が効いてるみたい。でも自分で酸素部屋には入らない。たまにお水飲みに行って息が上がっても、すぐ落ち着いてゴロゴロ言ったりしてる。

夜18時、シーバを5.5粒も食べた!シーバ、おそるべし。相当おいしいらしい。夜も酸素部屋で寝ず。息は28回/分まで落ち着く。猫の正常範囲は20〜30回/分。妹とほぼ寝ずに朝まで起きている。 

 

  • 9月16日

朝、7時から10時まで私は自分のベッドで寝る。何日か前はずっと隣で一緒に寝てたなあと思いながら、ずっと枕元で寝ていられると居なくなった時に、隣にいないまま一人で寝るのはつらいなと思っていたから、あとの自分のことを考えるとリビングに移動してくれて良かったかもしれない とも思う。私はいつも、残された自分が悲しく辛いという自分本位なことばかり考えていた。

 

今までねこを一度もゲージに入れたことなかったので、ゲージが内側から丸見えなのは、まるで檻みたいで可哀想か?と思って、内側にタオルケットを洗濯バサミを駆使して張って模様替えをする。私が創意工夫得意で良かったよ。

呼吸は36回/分くらいで、昨日の一番良い時より少し速い。あんまりウロウロせずに、大人しくしている。ご飯はまた食べなくなり、ほとんど寝ている。お水は飲むし、トイレにも何度か行く。利尿剤が効いてるのか?肺の水たくさん出せー!

午後まで何度か酸素部屋に入れたりして様子を見ていると、酸素部屋に閉じ込められると緊張して眠れないようなので、30分密閉したあと扉を開けて、マスクを垂らして近くから酸素が出るようにしてみた。酸素マスクの近くだと息がしやすいのわかったかな?まだわからんか……。ご飯は食べず。

息は切れてるときでも44回/分とかで、1〜2分しないうちに35回/分になる。酸素部屋の中だと、30回/分くらい。でも規則正しくなく、努力呼吸か?鼻はフーフー言わず、姿勢はデロンとしている。シーバを3粒食べる。

 

  • 9月17日

動物病院が家から徒歩10分かからない距離なので、普段は歩いて通院していたのだけど、今日は木曜日、母の車で病院に行く。予約・緊急診療のみにの動物病院に朝一番で予約をとって行く。ちょうど、主治医の先生がいた。

クレアチニンが4.2まで上がっている。肺だけじゃなくて、腎臓も悪い。利尿剤は腎臓に負担がかかる。苦しくない、辛くないように緩和治療を優先して、利尿剤を前回2mlの半分注射、腎臓の点滴も量を少なくする。母(が最初から決めていた)の治療方針に決定する。

帰りの車の中で、もう病院に行くのは最後かもねと母に話したら、人間は利尿剤が効かなくなって尿が出なくなるまで注射をするよと言われる。でもこの状態でどうやって外に連れ出せる?

 

帰宅後、ねこはずっと酸素のお部屋の中に入って、出てこない。部屋の中に水を設置して、寝ながらお水を飲んだら咽せたりしている。起きてシーバのスープを少し飲む!シーバだったら食べるなら、いくらでも買ってあげる と思って、幼馴染の親友とスーパーで片っ端から猫のご飯やおやつを買う。ちゅーるが嫌いだからいつも迷ってやめていた「シーバのちゅーる ささみの味・箱入り」も買ってみる。

案の定食べず、撃沈。箱そのまま残ってる……

夜に何か鳴いて訴えるので、いろいろ尋ねたらおもしろ半分で買った花ささみ(ささみのかつお節みたいなやつ)の匂いがする!とのこと!あげたら、めちゃくちゃ食べるー!!ウソ シーバ 敗北…… 大好物の前になすすべもなく。

ねこと家族で自撮りをする。カメラが好きじゃないので、変な顔…… この頃からずっと瞳孔が開いてたなあ。妹と私はシルバーウィークの予定を全てキャンセルする。

 

ねこは夜中も何度か花ささみを食べる。1週間以上ほとんど何も食べていなかったのに、太ってた時の名残で背中の皮はずっとデロンと残っていて、ねこは一度太ったら元に戻らないんだなあとこの時は思っていた。

明日は妹と母が出勤で、私と二人だから心配だなあ。

 

  • 9月18日

あんまり元気がなくて、自分で酸素のお部屋に入って寝る。トイレに行って、床に転がってたけど、また自分で酸素部屋に戻る。自分の部屋と思うようになったかなー。ご飯は食べなくなった。

 

夜18時、酸素部屋で吐く。今日一日元気なくて、酸素のお部屋の中でじっとしてたから気持ち悪かったのかも、お水飲んでお部屋に戻って、お部屋の中で吐いちゃった。慌ててゲージをあけたら飛び出して、逃げるから余計苦しくなって暴れる。吐いたときはもう口を開けて呼吸してて、少し落ち着いたけど酸素のマスクして呼吸47回/分くらい。内容物を見ても、全然消化してない。

もう酸素のお部屋入ってくれないかも。。。お部屋きれいにしたらまた入ってくれないかなぁ。。。猫のトラウマは場所に帰属する。案の定絶対に嫌!入ってくれなくなったので、リビングのこたつのちゃぶ台を、開いたゴミ袋を一周床まで覆うように設置し、酸素部屋とする。私が創意工夫得意でよかったね。妹が力持ちでよかったね。(力持ちを発揮するタイミングはない。)

 

長く短い連休

  •  9月19日

酸素部屋がダイニングの奥からリビングに移動し、ねこトイレから遠くなった。それでも自分で歩いてトイレに行くし、帰りは力尽きて倒れるけど、酸素マスクを当てていると起き上がってこたつの下まで自分で戻る。

ご飯を食べていないので、寒いかも? 寒いと丸まるので、ペットボトルにお湯を入れてタオルを巻いた即席湯たんぽを作って、冷めたら夜中に何度も作り直す。

冷房をつけられないので部屋が暑い。眠れないシルバーウィークが始まる。

 

シルバーウィークはまったく予定がないもののリビングから動けないので、妹とドラマをたくさんみる。高い服を買う。

ねこは、すこし余所見していると酸素を足に当てたり背中に当てたりしているので、寝返りを打ったらその都度顔に向け直す。手に酸素かけても苦しいままだよー

 

  • 9月21日

親友とモーニング行こうかなと思っていて、前日の夜時点でのねこの体調は、このままなら大丈夫かな……と思っていたけど、朝はかなり悪く、私も妹も徹夜なので直前ドタキャン。国勢調査届いてる。私は下宿先で答えることになっていたなー。

リビングで生活してる私と妹の立ちくらみが半端ない。冗談抜きで立つたびに血の気が引いて視界がクラクラする。酸素の機械は、空気中の酸素を集めて濃度を上げて、チューブから出している。もしかして、この部屋の酸素が薄いんじゃない!?とようやく思い立って、随時窓を開けて換気をする。夜は外がすこし寒い。秋が来ていた。

 

  • 9月22日

夜、ねこがこたつ下の酸素部屋で吐く。まったく食べておらず胃液がすこし出ただけなので、シートで即拭いてクッションを裏返しにすることで事なきを得る。暴れる元気も、酸素部屋から出ていく元気もない。息は40回/分いかないくらいだけど、見るたびに息が止まってるんじゃないかと思うくらい、弱く小さい。

気がついたら息が、なんてことが怖く、夜も電気を消せないし、ずっと眼鏡をかけていた。

 

妹と話し合い、明日病院に連れていくか相談する。今が安楽死のタイミングなんじゃないのか?など。呼吸が荒くなった場合の判断基準をきいていたので、このまま呼吸が弱くなったら、どうやって最後を判断したらいいかわからない。まずどうやって病院まで運ぶのか?明日とりあえず妹の仕事終わりに私と妹だけが病院に行って話を聞くことにした。

人間達も、食欲もなく全然寝られないので体力おばけの私と妹にも限界が来ていて、妹と一緒に家族にムカついたり獣医さんにムカついたりしている。睡眠不足は人を鬼にする。

 

  • 9月23日

シルバーウィークが終わって、妹と母が出勤。私と二人だからねこの元気がない。リビングで一緒に修論中間審査を聴講する。

学生の私と社会人の妹で毎日、ほとんど寝ずにねこの世話をした連休だった。人間の都合では、連休中にたくさんお世話できて良かった。ねこにとってどうだったかは、誰にもわからないけど。

 

  • 9月24日

LINEのねこねこスタンプを家族みんな買って、全員猫語で話すようになる。

当ねこは、こたつ下に飽きて出ようとする……。息は弱いがずっと40回/分くらいでしている。

 

ご飯を食べないから体力が落ちて、息がゆっくり止まるのが先か、肺がんで息が荒くなって、酸素が吸えなくなるのが先か、どっちだろう。息が苦しいのが一番辛いから、そうならないといいけど。

 

  • 9月25日

ねこがこたつ下から動こうとするので、私の創造力の全てを注ぎ、折り畳み傘とビニール袋を使って移動式住居ゲルを作る。トイレに行く途中で行き倒れても、ゲルを持っていけば安心!

と思ったらゲルからうまく出られなく、ビニールの袋になっているところに突っ込んで倒れたりする。そこは出口じゃないよー

ご飯をずっと食べていないので、昔太っていた時のたるんだ皮膚がすべてなくなり、さわると骨を感じる。この皮で生きてたのか。人間と一緒で不健康に死ぬほど痩せると皮もなくなるんだな。

 

最後の日

  • 9月26日

妹と一緒に1日リビングで過ごす。お笑いの日だったので、キングオブコントを観た。私も妹もお笑いすごい好きなのに、もう全員つまらん。

ねこは、苦しいようでときどきどこかに移動しようとする。夜はゲルをほとんど使わず、川の字になって寝た。猫は不調を自分じゃなくて場所が原因だと考えるらしい。「この場所がなんか辛くて変」と思ってると考えると納得がいく。

かわいそうなんだけど、お顔がずーっととってもかわいい。かわいいね、かわいいねと話しかけ続けたので、かなりウザがってた……。ポンポンと尻尾で相手してくれる。

 

水分補給をさせようにも、動けないので、ひたひたに濡らしたティッシュペーパーの先から水を垂らして、お水をあげる。一度に何滴か飲む。ペロペロとくちが動くので飲み込んでいるらしい。

ねこ「この場所がなんか辛くて変」と思って、床からソファの上にあがろうと暴れる。この期に及んで自分で飛び上がろうとし、仕方ないので載せるも、ソファの弾力に反発する力がないので沈むしうまく動けない。いつもここで寝てたのにねー。ショックを受けてるように見えた。慰めてなでるとゴロゴロ言っていた。

 

ハアハア息が止まらない。マスクをしていても苦しいらしく、暴れる。この日はお尻の下にペットシーツを敷いていて、一度だけその場でおしっこする。おしっこをするのも体力が要るようで、そのあとはずっとハアハア。声をかけると尻尾で返事する。最後まで、反応、返事はしていた。

 

気がついたら朝が来ていた。

 

  • 9月27日 朝9時

息が荒く、まったく落ち着く様子がない。日曜の朝なので家族全員が見守る。マスクを固定しながら、声をかけ続ける。

 

最後に苦しくて暴れる。

声をかけながら撫でていたが、亡くなった瞬間ははっきりとわかった。ネットで見るように息を大きく吐いてとか、死ぬ前の行動?はわからなかったけど、息が止まって、そのあとすぐに耳の毛細血管がサーっと白くなったことから、心臓が止まったのがわかった。絶対見逃さないと思っていたから、すごく冷静だった。 

 

朝がまた来る

そのあとはバタバタだった。保冷剤で冷やすので、すぐにとっても冷たくなった。

でも毛はいつもみたいにフニャフニャで柔らかくて、なんで燃やしちゃうんだろうと思った。お葬式って結局、残された人のためのただの儀式でしかなくて、これで何かが変わることなんかひとつもないなと思いながら、ペット葬の業者さんに連絡して、家の前で火葬してもらった。車で火葬ができるんだって、小さいなあ。

ペットの闘病ブログにいつも出てくる「虹の橋」の詩?を、存命中もなんども目にしていたけど、姉妹ともにどうしてもそれが受け入れられなくて、悪態をついていた。このペット葬の車にも、その詩のポスターが貼ってあって、妹が「そんなところで待ってないで」と思わず言ってしまった。その後業者さんが取り外しているところを見て、わざわざ貼ってくれたポスターだと気づいて、姉妹揃って気まずい思いをした。

 

最後の別れなんて、全然する気にならなかったけど、ふと思い立って庭に生えてたマリーゴールドキンモクセイを一緒に入れた。

妹と「いつでもスマイル」を聞きながら、ベランダからずっと眺めていた。秋晴れでとても天気が良かった。

虹の橋のたもとなんかに行かないで、ずっと家にいて欲しい。

 

祭壇とデジタルフォトフレームをリビングに置いて(風水的には最悪らしい、バラエティでかまいたち山内が診断されていた)、首輪の鈴だけ取り外して、リビングに置いている。オリジナルLINEスタンプも作った。

 

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さざんかを植えた

 

その後、新しいねこを2匹迎えたけど、ずっとねこちゃんお姫様みたいに甘やかしていたから、他の小さいねこに構ってって怒ってるだろうなあ。この家はねこちゃんの匂いがたくさんするみたいで、小さいねこたちはあいさつしようとねこを探している。

 

メルちゃん ずっとうちにいて、わたしの大事なねこ

私のことがきっと一番好きでいてくれた、これからもずっと唯一のねこ。大好き!